どういうわけか土日に仕事が入ったりしてなかなか出猟できない日が続いていた。実施隊に入ってからの駆除実績も未だにゼロ。テンションが下がる一方なのだが、札幌からJRで帰る途中に車窓から眺めていて気になる場所があった。地図を確認するとしっかりとした林道が付いている。さっそくシカ猟の計画を立てた。
この日、林道は除雪されていたが、シカの姿は見えない。このままの流し猟では捕獲が難しいと判断し、途中にあった除雪されていない林道をスキーを履いて入ってみることにする。
シカの足跡が縦横無尽に付いている。足跡をたどれば必ずシカがいると判断し、一番濃い足跡をひたすら追う。歩くこと30分、5頭の群れが100メートル先を横切った。狙いを付けたが、あっという間に逃げてしまう。さらに追うが、シカは警戒音を出しながら逃げて行く。
完全にシカのペースである。これは追い付かないとリュックの上にへたり込む。しばらくボーッとしていると、ふとシカの気配を感じた。まだ奴らが近くにいることを確信し、ゆっくり歩き始めるとまたもや警戒音。音の方向に目を向けると5頭の群れがじっとこちらを見ている。距離は50メートル。急いで銃を構えてゆっくりと引金を引く。弾は群れの中の1頭の首を撃ち抜いていた。2歳の大きなメスだった。有害駆除の目印となるテープを付けて写真を撮り、証拠の尻尾を切り取る。猟友会に報告するために必要な手続きなのである。
解体した肉をビニール袋に入れ、ロープを付けて引っ張りながら車へと戻る。重くてなかなか進むことができない。背負うよりは楽であるが、結局ロースとモモの一部しか持ち帰れず。何とか駐車ポイントに着くも腰が痛くて動けない状態。中腰になりながら車を運転して帰る羽目になった。
林道の雪もこれから次第に深くなっていくのだろう。忍び猟が主体になるこれからが本当の勝負である。