2014年10月26日日曜日

究極の流し猟

26日、同じ部会のYさんとシカ猟に行くことになった。Yさんは狩猟歴30年以上のベテランであり、独自の理論によって確実に結果を出す凄腕の猟師である。今回Yさんに連れて行ってもらおうと思ったきっかけは、ここ2年ほど毎年1頭しか獲れておらず、自分にその原因があるとすれば、どこをどうなおしたらいいのか、しっかり指導してもらおうと思ったからだ。

Yさんのランクル80は7.5インチもリフトアップしている。多少の悪路ではびくともせず、どんどん山奥へと進んでいく。流し猟のポイントはシカが走る前にこちらがシカを見つけること。撃つより何よりこれが一番難しい。また、シカを見つけてもすぐに車を止めず、通り過ぎてから何気なく車を降りてすかさず撃つ体制に入るようにした方がいいとのこと。

シカに出会わないのでシカ笛を吹いて様子をうかがう。遠くからシカの追い鳴きが聞こえてくる。どうやらこちらの様子をうかがっているようである。声が近付いてくると、相手もやる気になって向かって来るのがわかるのだが、今回は近付いてくる気配はない。こうした駆け引きもシカ猟の醍醐味だ。


流している最中に2頭のシカが出た。斜面を駆け上がり、こちらの様子を伺っている。距離は50m。Yさんから早く撃てといわれるが 、焦ってサベージの弾倉がなかなか入らない。このままでは逃げられると思った瞬間にYさんがすかさず仕留めた。大きなメスだった。

Yさんに背中からの解体方法を教えてもらう。内臓から開くと雑菌がナイフに付くので背中から解体した方が良いとのこと。最初にロースを取る。ロースは脂を付けたままにした方が焼肉にした時にはおいしくなるらしい。もも肉はシンタマや外モモを取ったあと仰向けにして内モモを取る。内ロースは背骨の下側を削ぐように取るが、腹腔に穴を開けないよう繊細な作業になる。自分はいつも内臓を出してからやっていたが、確かにこちらの方がずっと衛生的だ。

車はさらに林道を進んでいく。急斜面の下は深い谷底である。ところどころ路肩が崩れそうなきわどい部分を通過する。途中でシカを見つけ、引き金を引くも撃鉄が落ちない。あせって薬室に弾を送るのを忘れていた。あとでYさんから「さっきの1発目はどうしたの?」と聞かれる。しっかりばれていたようだ。初心者並みのミスというか全く情けない限りである。

一面ススキの原っぱのように見えるが、これでも林道である。獣道となっているかすかな踏み跡を見つけながら進んでいく。車高が低ければ進むことはできないだろう。

道の真ん中に木が倒れていて先に進めない。チェーンソーで木に切れ目を入れ、ウインチと滑車で引っ張って木をよける。Yさんのランクルには自力で脱出するための色々な道具がたくさん積んである。

尖った大きな石を踏むとタイヤがパンクすることもあるという。石を転がして道を開けながらさらに奥へと進む。

水の流れで林道の途中に亀裂ができている。スコップで亀裂を埋めて乗り越える。リフトアップしている車でなければできない技である。次から次へと難所が出てきて、これをひとつづつクリアしていく。これぞ究極の流し猟である。

本線まであともう少しのところで大きな亀裂にぶつかる。さすがにこれより先はどうやっても進めない。やむなく来た道を引き返す。戻る途中で2頭を見つけたが、発砲寸前に走られてしまい、惜しくも逃してしまう。

さらに別の林道を流しているうちに日の入り時刻となって終了。自分1人の流し猟では獲物が見つけられず、発砲の機会すらなかったが、今日は何頭もシカを見かけたし、積極的に発砲することもできた。Yさん曰く「獲物を見つけたらとにかく撃つこと。外れてもいい。撃てば当たることもあるんだから。でも撃たなければ100%当たることはない。木が邪魔だった?それは言い訳に過ぎない。見るのは獲物だけでいい」「猟師は1人1人やり方が違って当然。正解はないのだから、早く自分のスタイルを作ることだ」とのこと。自分の中で何かが変ったような今回の流し猟だった。


2014年10月24日金曜日

林道めぐり

最近めっきり寒くなり、森の木の葉も落ち始めてきた。そろそろシカ猟に出動する時期ということでカシミール3Dと入林禁止区域図を眺めながら、シカがいそうな林道を探してみる。翌日の日曜日、目星を付けた林道を回ってみることにした。

最初に入った林道は草が覆い茂っており、車が入った形跡がない。入れるところまで入って車を停めた。うっすらと霧がかかっており、あたりは枯葉が落ちる音しか聞こえない。

何か獣の気配を感じる。単独なので恐くて車から離れることができない。シカ笛を吹くと、50m先のヤブがガサガサと音を立てた。良く見ると霧の中にオスのシカが立ちはだかり、こちらをじっと見ていた。背筋がぞくぞくする。震える手で銃を構えて引き金を引く。シカは右の沢に飛び込み、あっという間に消えていった。すぐに後を追うが、当たった痕跡は確認できず、テンションが上がらないままこの林道を後にした。

さらに地図で確認した林道を回ってみる。 禁猟区の看板が出ているが、日曜日は入林禁止が解除になっているところもある。しかし、林道の状態も路肩が崩れかかっていたり、反対側に抜けることができるはずなのに途中で通行止めになっていたり、地図とは違うところもかなり多い。いずれにしても注意が必要だ。

ある林道の奥には炭鉱跡があった。他にも色々な発見があり、ちょっとした探検気分を味わうことができるが、奥へ入るほどクマの存在がどうしても気になる。シカの姿も見つからず、狩猟をやっているというよりは、ただ車を走らせているだけといった感じは否めない。

この日は7つの林道を回ったが、結局2頭のシカを確認したのみ。あちこちでハンターに出会ったが、あまり獲れていない様子だった。最盛期の紅葉を見ながら林道を後にした。

2014年10月18日土曜日

レインスーツ新調

いままで狩猟の際には釣り用のジャケットを着用していた。動きやすく、冬は暖かいので気に入っていたが、いつしか防水機能が無くなっており、雨の日はずぶ濡れ状態だった。

このままでは大変なことになるからとカミさんに頼み込んだ結果、ボーナス前借りで新しいレインスーツを買ってくれることになった。迷彩柄のものを探し回り、やっと見つけたのがモンベルの「カモワッチレインスーツ」というもの。どうやら自衛隊員も使用しているらしい。


素材はゴアテックス使用。蒸れにくいというのが最大のメリット。表地も丈夫そうである。


フードは襟の中に収納することができる。これだと邪魔にならなくていい。ちなみにフードのひさしには芯が入っている。

パンツの裾にはジッパーが付いていて靴を履いたまま着脱できる。裾に2ヶ所マジックテープが付いているが、何に使うのかは不明。

パンツのポケットはモノを入れるのではなく、下に履いているパンツのポケットにアクセスするためのもの。

スタッフバッグが付いており、リュックに収納するときには便利である。

迷彩柄は獲物から見つかりにくいが、万が一、遭難した場合など人に見つけてもらえない可能性が高い。やはりオレンジベストは必携ということで、結局は目立つことになりそうだ。

2014年10月13日月曜日

新型カモキャッチャー

昨日のカモ猟でカモキャッチャーを紛失したので、新たにカモキャッチャーを作ってみることにした。材料といっても特別なものはなく、ホームセンター、釣具店、100円ショップなどで揃えることができるものばかりである。

カモキャッチャーのベースは球形の木材 である。100円ショップで売っているもので、ウキとオモリの両方の性能を兼ね備えた優れものである。今回はこれに針金を取り付けてみた。この針金がカモの体に引っ掛かる形なのだが、万が一、根掛かりしても針金が曲がって外れる仕組みである。クモに似ているので「スパイダー」と名付けることにした。

こちらは球形の木材に引っ掛け針を直接取り付けたもの。確実に捕えることができるよう「ダイレクトキャッチ」と名付けた。

釣り用のウキをベースとして、下に球形の木材、上に引っ掛け針を取り付けてみた。強力な浮力があり、今回の試作品の中では最もうまくいきそうな感じである。こちらは「トリプルスペシャル」と名付けた。

どうでもいいけど、ここまで作るのに針を手に刺したり、ペンチで指を挟んだりと結構大変である。もし、自分で作ってみたい方、ケガには十分注意してほしい。

2014年10月12日日曜日

シカ猟転じてカモ猟

12日、シカ猟へ行く予定が急きょキャンセル。天気も良いので、近くの川へカモ撃ちに行くことにした。川付近の池で運良くカモを発見、至近距離でカルガモをゲットすることができた。

カモキャッチャーで回収に取り掛かるが、水草が多くて悪戦苦闘。そうこうするうちにカモキャッチャーを根掛かりで紛失。水面を波立たせたりしながら、何とか向こう岸に寄せて回収に成功したが、かなりの時間がかかってしまった。

続いて排水機場の池にデコイを浮かべてカモが寄ってくるか試してみた。寄ってくるどころか、どうみても避けられている感じ。この時期にマガモのデコイはミスマッチということだろうか。8羽のデコイを回収するのにこれまた一苦労。今日は鉄砲よりも竿を振り回している時間の方が長かった。

獲ったカルガモを実家に持っていく。カモ鍋にするときっとおいしいだろう。羽を毟りながら人間が生きるっていうのはこういうことなんだといつも思うのである。

2014年10月11日土曜日

スナイパー入門


狩猟を始めて今年で4年目。それほど上手になってもいないし、いまだに新人の域を抜け切れてもいないが、毎年少ないながら新たなハンターが入ってくる。自分には彼らに教えられるほどの技量もなければ、経験に裏打ちされた知識もない。あるのは試行錯誤だらけの拙い経験だけなのだが、色々な方々からありがたいコメントをいただいている。このブログが何かの役に立っているのだとすればこんなにうれしいことはない。

さて、前置きはこれくらいにして、自分が狩猟免許取得の勉強をしていた際に出会った本を紹介したい。「スナイパー入門(かのよしのり著・光人社刊)」という本である。あの当時、図書館で見つけて、あっという間に読んでしまった記憶がある。

タイトルだけをみると「ミリタリーおたく」が読む本のような感じがするが、実は狩猟に関する内容が中心になっていて、狩猟免許や銃砲所持許可取得までの道のり、シカ猟の実際、鳥獣の種類や特徴などがわかりやすく書かれている。

久し振りに読んでみたが、ハンターになる前となった後で読み方もかわってくるから不思議なものだ。そういう意味で新たな発見がたくさんある。狩猟に行かない秋の夜長には是非読んでもらいたいハンター必読の書である。

2014年10月9日木曜日

ヤブ漕ぎでの注意点

狩猟から帰ってきてやることは、銃の手入れ、リュックの中身の片付け、衣類の洗濯、そしてGPSデータの整理である。GPSをパソコンに接続し、その日歩いた軌跡やポイントをカシミール3Dのデータとして保存しておく。このデータが次の狩猟で役に立つのである。

下の地図は5日のカモ猟でのデータである。上の道路からカモが落ちている場所(矢印のところ)を目指して、見通しがきかないヤブの中を進んで行った。自分ではまっすぐ進んでいるつもりだったが、GPSの軌跡を見るとかなり右にずれて歩いているのがわかる。結局、かなり下流の方に出てしまい、川岸を伝いながら矢印の地点までたどり着くのに予想以上に時間がかかってしまった。急いで川まで行こうと焦りつつ、ヤブが薄い方を選びながら進んでいったのが失敗の原因。見通しの効かないヤブの中ではGPSを見て行動した方がいいということである。

人間の感覚というのは思ったよりもアテにならないことが多い。GPSで自分の行動を分析しながら、次のステップにつなげることが必要かもしれない。

2014年10月5日日曜日

カモ共同猟

5日、部会主催の共同猟が開催された。5時に現地到着。今回の参加人数は約30人と結構多い。日の出時刻は5時34分。準備をしながら出猟を待つ。


 それぞれが待ち場に付くが、池にはカモが全然入っていない。その後、何回かカモが池の上空を通過するが、撃っても全然当たらない。晴れている日はカモが飛ぶ高度も高いらしい。

待ち時間は情報交換タイムである。ほとんどカモ猟はそっちのけで情報交換の合間にカモが飛んできたら撃つという感じ。実はこれが先輩猟師から色々な話を聞くことができる貴重な場なのである。

8時にご飯の時間になる。恒例のきのこ汁が振舞われ、体がとても温まる。思わずおかわりをする。




この他にもジンギスカンやシカ肉ソーセージを食べて満腹になった。食後というのは動くのがおっくうになる。引き続き情報交換が続く。

ちなみに今朝の猟果は全体でコガモ1羽のみ。30人がかりで手にした貴重な獲物である。

さて、お腹の方も落ち着いてきた。ここの猟場でいくら待っても可能性は薄いので、新人のKさん、Hさんと3人で近くの池を見に行く。2か所目の池には多くのカモが入っていた。池に近付くとすぐにカモが飛び立ち、すかさず発砲するもことごとく外れる。まさかいないだろうと寄ってみた隣りの池では、コガモ3羽が手前の岸から飛び出し、あせって2発とも外す。これを見ていたかのように遅れてカルガモが2羽飛び出し、もたついて上の筒に実包を1発しか入れられず、これまた外す。トラップ射撃をもう少し真面目にやっておけば良かったと思っても後の祭り。

3か所目は旧河川である。橋の上から大きな群れを確認し、左岸の牧草地から攻めることにする。林の陰から覗き込み、おー!いるいると思った瞬間、群れが一斉に飛び始めた。木が邪魔で撃てない、これはダメだと思いきやKさんが木の間から発砲。弾が羽に当たったカモは水面に落下。対岸で何とかカモを回収した。

ゲットしたのは大型のカルガモ。Kさんは今回がデビュー戦とのこと。難しい位置から本当に見事な撃ち方だった。おめでとうございます。

共同猟を終えて、メンバーとっておきの猟場を見ながら札幌へと帰る。猟場の攻め方、使っている道具など誰もが自分のスタイルを持っているのがわかる。仲間との共同猟には1人で得ることのできない楽しさがあるものだ。



2014年10月4日土曜日

カモ猟スタート

解禁後初めての土曜日、待望のカモ猟へ出発する。この1年間、まさにこの日のために生きてきたようなもの(ちょっと大げさかな)。また、知り合いの方からカモを頼まれており、何とか1羽だけでも獲りたい。小雨交じりの中、近くの猟場へと車を走らせた。

開始早々、池の上に3羽のカモを発見し、発砲するも半矢にしてしまう。対岸のヤブに逃げ込んだカモを探すが、いくら探しても出てこない。あきらめて帰ろうとしたところ突然3羽のカモが池に下りてきた。そっと近付き、ゆっくりと引き金を引いた。

今年最初の獲物はカルガモ。結構大きなサイズである。まだ時間があるので、毎年恒例の「ため池」回りに向かう。

この池にはかなり高い確率でカモが入る。この日も対岸付近に10羽ほどいるのを確認したが、遠くて狙えない。ガサガサと移動しているうちに気付かれてしまい、一斉にカモが飛び立つ。カモは4回ほど上空を旋回し、私の姿をしっかりと横目で見ながら飛び去っていった。カモ猟の場合、オレンジベストはかなりのハンディである。

カモが飛んで行った方向はわかっているので、入っているとすればこの池しかないと目星を付けた。ゆっくりと池に近づくが、カモの姿は見えない。絶対にいると確信しながら待つこと数分、手前のヤブあたりに水紋らしきものが見え、ゆっくりとカモが出てきた。至近距離で1発、発砲音と同時に右からもう1羽が飛び出し、2の矢をかける。静まり返った水面には2羽のカモが浮かんでいた。

獲物はコガモのメス。初めてのダブルである。スキート射撃の練習が役に立った。雨が強くなってきたのでこの日のカモ猟はここで中止。

知り合いの家にカモを届ける。お礼にお餅をもらった。そこのお爺さんが昔狩猟をやっていて、久し振りにカモを食べたいということらしい。喜んで食べてくれる人がいるとまた獲ろうという気持ちになるものである。明日は部会の共同猟がある。充実した週末になりそうだ。