2月24日、札幌支部の共同猟と新人を対象とした解体研修会に参加した。集合場所である安平町の気温は-10℃と非常に寒い。
午前中は共同猟ということで厚真町方面に移動。午後からの解体実習に使う個体をメンバー全員が協力して捕獲するというもの。林道入口でスキーやスノーシューを履き、山へと入る。
私は林道下部での待ちに付く。私の担当は砂防ダムの50m横。正面の斜面を下りてくるシカを撃つことになる。やがて勢子のコールが聞こえてきたが、無線を聞いているとシカはかなり上の方にいる模様。1時間後、どうやら上部を切られたとのことで待ちは解除。それでも上部で2頭を押さえたようで下部の待ち組が回収の応援に向かう。
上部で捕獲した班と合流してバトンタッチ。大きな個体であり重量もかなりあるので内臓を抜いて運んできたとのこと。
シカの首にロープをかけて林道入口まで引っ張っていく。雪の上なので意外と運びやすい。
とりあえず林道入口まで運んで終了。ここで内臓を抜いていない個体を使って解体実習を行うことになった。
腹部を開くときは内臓を傷つけないよう刃先を上にして胸から腹に向かって開いていく。最も基本的な動作の一つ。
このRV車の後部には手動ウインチが装着されていてシカを吊るすことができる。吊るした方が作業は格段にやりやすい。内臓をごそっという感じで取り出すことができる。
内臓の中からシカの心臓を取り出す。コリコリした食感がおいしい部位である。ついさっきまでは動いていた体の一部であるが、命を頂くというのはこういうことなんだなと思う。
午後からは猟友会のメンバーが所有する倉庫へ移動する。ここにはウインチなどの解体用の設備が整っている。
1頭のシカを枝肉にする作業を行う。内臓を取った個体の皮を剥ぐところから始める。あまり力を入れず、ナイフの腹を軽く当てるだけで皮は簡単に剥がれていく。
胴体から頭を切り離す作業である。アゴの下から耳の後ろに向かって刃を入れていくのであるが、これが意外と難しい。首は一ヶ所でつながっているのでそこを切るといいらしいが、簡単にはいかない。やはり何度も経験を積まなければならないものである。
枝肉の最後の仕上げ。皮を剥いだ後、吊るして背骨の真ん中を電動ノコギリで切っていく。こうなるともう単なる肉の塊としか思えない。
そのあとは枝肉から各部位にばらしていく作業である。もも肉を「シンタマ」「内もも」「外もも」といった部位に分け、さらに前足やロース、内ロース(フィレ)などの各部位も細かく分けていく。どこがどの部分なのかさっぱりわからないが、骨に沿って切っていくのがポイントのようだ。
作業が終わった後は全員でシカの焼肉を食べる。シカ肉は炭で焼くととても美味しい。フライパンで焼いたものとは全然違う。これなら誰が食べても喜ぶと思う。
16時に全日程が終了。体力的にも精神的にもかなり疲れたが、充実した1日となった。
今回の研修会を振り返ってみて思ったのは、熟練者の解体方法は無理な力をかけていないということ。強いて言えば流れるようなものだった。今まで何が正しい方法なのかわからずに自己流で解体をやってきたが、やはり物事には決まったやり方があり、基本的なことをきちんと学ぶことが大切なのだと思う。そういう意味で今回の研修会で得たものは非常に大きいと感じた。
所長様
返信削除こんばんは。北海道は現在猛吹雪です。シカの皮は薄いのでナイフを入れると簡単に切れます。きっとイノシシより解体しやすいのではないでしょうか?電動ノコギリでの解体は私も初めて見ました。そういえばベテランハンターは小さなノコギリを胸ポケットに入れていました。胸骨を割るのにノコギリは重宝するようです。
北海道のエゾシカ猟は3月末までです。あと1カ月足らずでどれ位獲れるかわかりませんが、残り少ない期間で頑張りたいと思います。