今回の作戦は「巻き狩り」といって、追い出し係の「勢子」が射撃手である「待ち」のところにシカを追い立てて一斉射撃で捕獲するもの。無線で連絡を取り合いながらお互いの動きを確認し合う。ちょっとしたミスが大事故につながることもある。とにかく連携が重要なのである。
私は今回「待ち」に付くことになった。スキーで待機場所へと移動するが、急斜面をスキーで登るのは結構つらい。汗をかきながら登り続ける。
移動の途中でエゾシカにかじられた木を見つけた。こうしてシカに皮を剥がされた木はやがて枯れてしまう。残念なことだが、こうなってはなすすべがない。
1時間ほど登ったところで「待ち」に入る。尾根の向こうには「勢子」がいるのでうかつには撃つことはできない。シカが沢に降りたところで撃つように指示される。シカが来るのをじっと待つが、体が冷えて寒さが身にしみてくる。
「シカの群れが上にいったぞ!」と無線が入る。緊張しながら待つこと数分、シカの大群が目の前に現れた。あまりにも数が多くてどれを狙って撃っていいのかわからない。とにかく群れを目掛けて2発、3発と連続で撃つ。3頭ほど当たったのを確認して回収へと向かった。
リーダーから撃ったシカは全頭降ろすように指示が入る。撃ったシカを放置することは法令で禁止されているのである。シカの首にロープをかけて引っ張っていくが、沢の中には立木や穴がたくさんあって作業は困難を極める。やっとのことでシカとともに集合場所へと到着するが、撃つよりも運ぶ方がはるかに大変である。
この日の捕獲頭数は25頭。先々週と先週であわせて100頭ほど獲っているとのことだが、実際にこの地域に生息している頭数はこんなものでは済まないはずだ。駆除活動は3月いっぱいまで続けられるが、人の力でシカの数を減らすということは本当に容易ではない。自然と人間の共生がいかに難しいものであるか実感した1日だった。
所長殿
返信削除今回初めて駆除活動に参加しましたが、とにかくすごかったです。
第1回目の駆除では70頭も捕獲したため、これを山から下ろすのに夜中までかかったそうです。シカの大軍が「どどどっ」と近付いてきた時にはホント身震いがしました。北海道のシカ問題、今のままでは大変なことになるような気がしてなりません。