2013年5月29日水曜日

守るべき法律(鳥獣保護法関係)

猟師が守らなければならないルールは非常に多い。そのルールはいわゆる常識の範疇としてではなく、法律によって細かく定められているのである。

まず知っておかなければならないのは鳥獣保護法である。正式名称は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」といって環境省が所管する法律だ。主に捕獲や狩猟の方法について定められているもので、実際に自分がよく目にするものとしては下記のようなものがある。

(1)鳥類及び哺乳類に属するすべての野生生物が法律の対象
  鳥獣及び鳥類の卵は、原則としてその捕獲・採取は禁止されている(法第8条)。ただし、学術
  研究及び農林業被害防止を目的として許可を受けたもの、規定に基づく狩猟に関するものは
  捕獲が認められている。
  なお、ドブネズミなどのいえねずみは許可を得なくても捕獲できることになっており(規則第78
  条)、ネズミ・モグラ類については、農林業活動にともなって捕獲がやむを得ない場合は許可を
  受けなくても捕獲することができる。(規則第12条)
  また、トドなど一部の海棲哺乳類は漁業法(水産資源保護法)で管理されているので鳥獣保護
  法の対象外である(法第80条)。

(2)狩猟で捕獲できる鳥獣は限られている。
  いわゆる狩猟鳥獣は鳥類29種、獣類20種の合計49種が定められている。なお、これ以外の鳥
  獣は非狩猟鳥獣なので許可なくして捕獲はできない。(規則第3条、別表第1)

(3)猟具は法律で定められている。
  狩猟で使用できる道具は「網」「わな」「装薬銃(第1種)」「空気銃(第2種)」の4つであり、それ
  ぞれについて狩猟免許がある。なお、上記4つ以外は猟具として認められていない。例えば「や
  り」や「弓矢」で捕獲するのは禁止されている。(法第39条)

(4)銃器の使用には制限がある。
  日出前及び日没後の銃猟は禁止されている。なお、日出前及び日没後の定義は実際の日光
  ではなく、暦によるもの(国立天文台HP参照)とされており、場所によってその時刻も異なるの
  で注意が必要である。(法第38条)

(5)道路上での狩猟は禁止。
  公道上での狩猟は禁止されており、弾丸が公道の上を通過するような撃ち方も禁止である。ま
  た、わなにかかった獲物が公道にはみ出してもダメ。さらに運行中の自動車から撃つのは禁止
  猟法である。

(6)住居が集合している地域、多数の人が集まる場所での銃猟は禁止
  危険なので当然ダメ。なお、住居が集合している地域の定義は「人家と田畑が混在する地域内
  にあり、発射地点の周囲半径200m以内に人家が約10軒ある場所」となっている。(法第38条)

(7)残滓を放置してはいけない
  捕獲した鳥獣は全量を回収するか、適切に埋設処理することとされている。なお、適切な処理
  が困難な場合、影響が軽微な場合は除くこととなっている。(法第18条) 

この他にも狩猟免許、狩猟者登録などに関して細かい定めがある。なお、法律、施行令、施行規則などを体系的に見なければわからないものも多く、条文をどう解釈するか慣れなければ難しいものである。

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