何といっても最も厳しいのが銃刀法である。正式名称は「銃砲刀剣類所持等取締法」といって銃砲や刀剣類の所持規制に関して定めたものであり、警察庁が所管している。
まず所持許可の関係である。銃を持たせるかどうかの入口となる判断でもあるため、本法でかなり細かく規定されている。
(1)一銃一許可制
銃の所持許可は一丁につき一許可となっている。すなわち自分の銃を触ることができるのは自分のみとなる。もし、他人に持たせた(触らせた)場合は、持った人は「銃砲不法所持」、持たせた人は「銃砲不法所持幇助」となり、両方処罰される。(法第3条)
(2)コレクションのための所持は不可
所持許可を受ける銃の用途は①狩猟②有害鳥獣駆除③標的射撃④年少射撃資格者の指導(通常あまりない)の4つに限定されている。なお、コレクションや遺品など上記の用途に使わない銃には許可が下りない。(法第4条)
(3)所持許可を受けることができない人(絶対的欠格事由)
第5条に細かく書かれているが、わかりやすく表現すると下記の通りである。
①猟銃は20歳、空気銃は18歳未満の者。
②破産している者。
③精神障害、意識障害のある疾病、認知症である者。→所持許可及び更新の際には精神保健指定医等の専門医による診断書が必要になる。
④アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
⑤自己の行為の是非を判別できない者。
⑥住居の定まらない者。→住民票のある場所に住んでいないのはダメ。単身赴任先に銃を持っていく場合は住民票を移転する必要が出てくるので注意。
⑦所持許可の取消処分から5年~10年を経過していない者。
⑧聴聞の前に銃を手放した場合、その日から5~10年を経過していない者。
⑨禁錮以上の刑に処せられた者で刑の執行終了から5年を経過していないもの。
⑩銃刀法及び火薬取締法に違反して罰金の執行終了から5年を経過していないもの。
⑪人の生命又は身体を害する罪、銃刀類を利用した凶悪な罪を犯してから10年を経過していない者。→ケンカで傷害罪になると所持許可は取り消しとなり、次の更新もできない。
⑫ストーカー行為をして警告、命令を受けてから3年を経過していない者。
⑬いわゆる「DV法」による命令から3年を経過していない者。
⑭⑪に掲げる違法行為で罰金刑の執行終了から5年を経過していない者。
⑮集団的、常習的に暴力的不法行為を行う恐れがあると認められる者。→暴力団と交流のある人も許可が下りない。
⑯他人の生命、身体、財産、公共の安全を害し、又は自殺をする恐れがある者。
⑰所持許可申請にあたって重大な虚偽の記載、事実を記載しなかった者。
(4)所持許可をされないことがある人(相対的欠格事由)
同居している親族のうち上記③④⑤⑫⑬⑮⑯に該当する者がいる場合、所持許可がされないことがある。
(5)基準外の銃も所持許可は下りない。
①変装銃(仕込み銃など)
②著しく欠陥のある銃。
③自動小銃や機関銃→引金を引くと弾丸が出続けるもの。(そもそも市販されていないが)
④散弾銃3発以上、ライフル銃6発以上の弾を装填できる弾倉のある銃。
⑤口径が規定の長さを超えるもの(散弾銃12番、ライフル銃10.5mm、空気銃8mm)
⑥全長、銃身長が規定の長さより短いもの(全長・猟銃93.9㎝、空気銃79.9㎝、銃身長48.8㎝)
⑦消音装置(サイレンサー)、ピストルグリップ、二脚付き、サムホール付きの銃→消音装置が悪用されたら困るのはわかるが、それ以外はなぜダメなのか理由は不明。
(6)講習会及び射撃教習の義務付け
所持許可及び所持許可の更新を受ける者は「猟銃等講習会」の受講が必要(法第5条の3)。また、猟銃の所持許可を受ける場合は民間の射撃場での射撃教習を受けて合格することが必要(法第9条の5)。なお、公安委員会が行う技能検定(法第5条の4)で合格する形でもOKだが、過去に誰も受けたことがないとのこと。自動車学校の方が自動車運転免許を取りやすいというのと同じである。
(7)所持許可の有効期間は3年間
3回目の誕生日毎に所持許可の更新を受けなければならない。なお、「猟銃等講習会」の他に「技能講習」を受けることが必要。(法第7条の2、法第5条の5)
(8)所持許可の取り消し
危害予防上の障害となる場合、一定の取消事由が生じた場合、公安委員会から所持許可の取り消しとその銃砲刀剣類を仮領置されることがある。(法第11条)
以上、かなり長くなってしまったが、これでもごく一部である。どんな法律もそうだが、運用する行政側にとって都合のよい内容になっているというのは否めない。
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